―「慌てず・無理せず・悪化させない」
ための考え方―
この記事では
現役デイサービス看護師牡丹(ボタン)が、
現場で実践しやすい誤嚥対応を
「その瞬間」
「少し落ち着いた後」
「その日の判断」
の3段階に分けて整理します。
デイサービスでは、
食事や水分摂取の場面で誤嚥が起こる可能性を
常に想定しておく必要があります。
誤嚥対応で大切なのは、何かを“すること”と
“しない判断”です。
誤嚥と窒息は似ていますが、
対応は異なります。
デイサービスでは、
- 食事中のむせ
- 水分摂取時の咳
- 食後の痰増加
- 食後の発熱
などが誤嚥のサインになることがあります。
ここでは、誤嚥を疑ったときの対応と判断基準をまとめました。
デイサービス看護師さんや
デイサービスを検討している方が
少しでも不安が解消するば嬉しいです。
そもそも誤嚥とは?
誤嚥とは、食べ物・飲み物・唾液などが
気道に入りかける、
または入ってしまう状態です。
多くの場合、
- 咳込み
- むせる
- 声が一時的に変わる
といった反応が見られます。
咳が出ている=異物を排出しようとする正常な反応
この時点では、すぐに処置が必要な状態とは限りません。
まず整理:誤嚥と窒息の違い
窒息
→ 気道が完全または高度に塞がれる
→ 呼吸困難
→ 声が出ない
→ 緊急対応
誤嚥
→ 食物や唾液が気道へ入る
→ 咳は出ることが多い
→ 呼吸はできる
→ 経過観察+評価が必要
誤嚥は「即119」ではないこともありますが、
放置すると肺炎につながります。
誤嚥と窒息の見分け方の記事はこちら
▶︎誤嚥と窒息の見分け方
窒息対応はこちらをご覧ください
▶︎デイサービスでの窒息対応
【STEP1】むせた直後の対応
✔ 咳を促す
✔ 無理に水を飲ませない
✔ 前屈姿勢をとらせる
強い咳が出ていれば、
排出反応が働いています。
無理な叩打は不要です。
まず「咳が出ているか」を確認
- しっかり咳が出ている
- 呼吸ができている
- 声が出ている
この3点が確認できれば、
落ち着いて見守ることが最優先です。
❌ 慌てて水を飲ませる
❌ 背中を強く叩く
❌ 「早く飲み込んで」と促す
これらは誤嚥を悪化させる可能性があります。
食事・水分は一旦中止
- 口腔内に残っているものを確認
- 義歯のズレがないかチェック
- 本人が「もういらない」と言ったら尊重する
一時中止は“安全な判断”です。
姿勢を整える
- 可能であれば軽く前屈位
- 顎を引き、気道が開きすぎない姿勢
無理に姿勢を変える必要はありませんが、
のけぞった姿勢は避けるようにします。
【STEP2】誤嚥後の観察ポイント
咳が治まり、本人が落ち着いてきたら、次を確認します。
✔ 呼吸苦
✔ 声のかすれ
✔ 呼吸回数
✔ SpO₂
✔ 呼吸音
✔ 顔色
を確認します。
SpO₂低下や呼吸苦があれば、
窒息に移行していないか注意します。
「今は大丈夫そう」でも、
ここからが看護師の観察力の見せどころです。
【STEP3】その後の観察ポイント
誤嚥後、すぐ問題がなくても
数時間後に症状が出ることがあります。
✔ 発熱
✔ 痰増加
✔ 咳悪化
✔ 活気低下
✔ 呼吸数増加
当日中の変化を見逃しません。
【STEP4】帰宅判断
誤嚥後は原則:
✔ その日の入浴は中止
✔ 活動量を減らす
✔ 食事は慎重に再開
強いむせがあった場合は、
→ 家族へ連絡
→ 早めの帰宅を提案
します。
【STEP5】受診を検討する基準
私は以下の場合、受診を勧めます。
✔ SpO₂低下
✔ 呼吸苦
✔ 繰り返す誤嚥
✔ 明らかな痰増加
✔ 37.5℃以上の発熱
特に高齢者は、
誤嚥後24〜48時間で
誤嚥性肺炎を発症することがあります。
誤嚥後に注意したい“時間差の変化”
誤嚥は、その場で終わらないことがあります。
数時間〜翌日以降に起こりやすい変化
- 咳が増える
- 痰が絡む
- 微熱が出る
- 呼吸が浅くなる
- 元気がない
これらは誤嚥性肺炎の初期サイン
の可能性があります。
【その日の判断】利用継続 or 利用中止
利用継続できることが多いケース
- 一時的なむせのみ
- 咳がすぐに治まり、症状が再燃しない
- バイタルが安定している
利用中止を検討するケース
- 咳が断続的に続く
- 明らかな声の変化がある
- SpO₂が下がり気味で戻らない
- 本人が「苦しい」「怖い」と訴える
👉 「念のため中止」は、
過剰対応ではありません。
家族・スタッフへの伝え方(例)
「食事中に少しむせる場面がありました。
今は落ち着いていますが、誤嚥後は時間が経ってから症状が出ることもあります。
今日は無理せず、様子を見ていただければと思います。」
ポイントは
✔ 断定しない
✔ 不安を煽らない
✔ 観察が必要な理由を伝える
デイサービス看護師として覚えておきたい考え方
誤嚥対応で最も大切なのは、
「食べさせること」より「安全を守ること」
- 中止できる勇気
- 様子を見る判断
- 周囲に共有する行動
これらはすべて、看護師の専門性です。
誤嚥リスクが高い利用者さん
✔ 脳梗塞既往
✔ パーキンソン病
✔ 認知症
✔ 義歯不適合
✔ 最近むせが増えた
「最近むせが増えた」は重要な前兆です。
誤嚥を予防する視点
対応よりも重要なのが予防です。
① 食形態の調整
✔ 刻みすぎない
✔ とろみ適正
✔ パサつき防止
② 姿勢
✔ 足底接地
✔ 体幹安定
✔ 顎引き姿勢
③ 食事スピード
✔ 一口量を小さく
✔ 声かけでペース調整
✔ 丸飲み防止
まとめ
- 誤嚥時は「咳が出ているか」が
最初の判断材料 - 無理な介入はしない
- 落ち着いた後の観察がとても重要
慌てず、無理せず、悪化させないため
の考え方を心に留め、
日々の業務を少し楽にするヒント
になれば嬉しいです。
急変時対応はこちらを参照して下さい
▶︎デイサービス看護師の急変時対応
判断基準はこちら
▶︎デイサービス看護師の判断基準
発熱対応はこちら
▶︎デイサービスでの発熱対応
この文章が、
デイサービス看護師さんや
デイサービスを検討している方、
興味のある方が
少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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